

フェイトゼロを読み始めてしまいました。綺麗な装丁なのにISBNコー
ドがない。つまり一般的な書籍流通していないという、限りなく同人誌に
近い本な訳です。
知っている人は知っている、知らない人は本当に知らない。そういう本な
訳ですね。
もともと同人業界から商業ベースに移行したTYPEMOONという会社
がその記念すべき転換点に発売したPCソフト「FateStayNight」のストー
リからスピンアウトした外伝小説です。
Fate自体は18歳以下は遊んではいけないわけですが、そのストーリー性
が高く評価されコンシューマーにも移植されたほどのゲームです。なかな
か手がでないでいましたが、小説ならばいつでもどこでも、まあ誰とでも
とはいかないまでも読めますからね。
AMAZONでは売っていませんが、ニトロプラスという会社で通販して
いるので別にコミケまでいかなくても手に入れる事は可能です。
http://www.fate-zero.com/vol1.html
ちなみに、おおもとのFateは先頃講談社から小説家としてプロデビューし
た奈須きのこさんが書いたもので、ゲームシナリオとして成立しているの
で小説はないのですが、このFateZeroはそれに触発された形でニトロプラ
ス所属のシナリオライター虚淵玄氏が執筆したものです。
作者が違うというのは異例といえば異例ですが、二次創作があたりまえの
コミックマーケット出身の作家達ならではということなのかもしれません。
で、読んでみるとこれがかなり読みやすくて面白い。原作はビジュアルノ
ベルという性質上、情報量としてはそれでも少なめに抑えられているので
しょうが、小説ではその行間を埋める細かい設定や描写がとても自然に施
されています。また語彙も適切に配置され、その人物の人となりに合わせ
た言葉を取捨選択できる作者の力量は、十分に商業誌のそれでした。
では二次創作とはいったいなんなのか。単純にオリジナル>同人というく
くり正しいのかと言う問題がでてきます。勿論Fateの根幹にあるオリジナ
リティは奈須きのこさんが生み出した「聖杯戦争」という設定。7人の魔
術師が7人の英霊をサーヴァントとして使役し、最後の一人になるまで殺
し合って聖杯を得るという物語の骨子にあることは間違い有りません。
しかし、そのフレームの中で、さらに世界観を押し広げ、原作の幅を広げ
る二次創作という仕組みには、従来のアンソロジーの枠を超えた拡張性が
感じられます。
つまり、既存の枠組みに対して更に新たな物語を付加する事で世界観その
もの拡張していく物語の自律進化。それがこの正規の外伝ともいうべき物
語のもつ特異性なのではないかと、まあそう思う訳です。
「作品は作者のものではない」とよく原作者が口にする文言がなんの衒い
もなくただ事実として受け入れられ、その世界が拡張し、発展する。それ
が作品が世に出ると言う事の本来の意味合いかもしれない、真冬の自室で
サフの乾燥を待ちながらそんなことを思う次第であります。