終戦記念日。特に変わったことはない。例えば、月の世界を想像し
てほしい。彼らは月面でしか生活したことがない。そこには酸素も
ないが争いも無く、地下には無限の資源があって人々は幸せに暮ら
している。彼らは実は自分たちが地球人の末裔で、移民船に乗れた
のはごく一部の富裕層だけであり、今ではすっかり赤茶けてしまっ
た地球にはまだ数十億の人々が貧しい暮らしをしていることを知ら
ない。全く知らない。
さて、彼らは「悪い」だろうか。いや、「知らない」のだから、悪
いということを知りようが無い。想像もつかない。
だが、彼らが悪であることを知っている人々がいる。彼らのせいで
船に乗れなかった者達とその末裔だ。彼らは月の人を憎む正当な理
由がある。でも、月の人々はそんなことは知らずに平和に暮らして
いる。そして、地球の人々が正義の鉄槌を振り下ろし、月に核を打
ち込む、そのとき、月の人々は初めて貧困を知る、悲惨を知る、絶
望を知る。そして悪を知る。明白な悪だ。
地球に残った連中こそ、悪だ。
これはもちろん寓話だ。戦争のことも、それから派生した現在のこ
とも、バイアスはあれど様々な情報を介して我々は知っている。し
かし、過去と現在、国と国を隔ててる距離は、月と地球の比ではな
い。想像力だけが、その壁を超えられるロケットだ。知識を燃料に
して飛ぶしかない。
目指すは善悪の彼岸、と言ったら格好つけ過ぎか。
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