まで、隅から隅まで好みのスタイルでまとまっている久しぶりにあた
りと言える本。食玩で有名になった模型屋海洋堂とフィギアやガレキ
などのオタク文化の周辺情報をぎっしりつめこみ、インタビューと図
版の数も半端ではない。海洋堂の歴史沿革などは前著に詳しいが、こ
の本は、日本のオタク文化をマクロ的に俯瞰し、そのなかでの海洋堂
の位置づけを測っていく作りになっている。そういう意味ではとても
グローバルな本なのだ。これを読むと食玩等のマスプロのフィギア産
業がどのように成立しているのかが良くわかる。業界読本といっても
良いくらい。
圧倒されるのは、そのストイックさと、熱量。
「偉大なことを成し遂げるのは、それ以外になすことのできない人
のみである」(ヒルティ「眠れぬ夜のために」)
どの分野でも突出するのはバランスを崩したもの。平均化できないか
わりに、突き抜けることができる。ではその突き抜けた造型がマスプ
ロとして成立するはなぜか。この本が面白いのはその点だ。突き抜け
た造型も、形になれば摸倣が出来る。ペイントマスター(立体色見本)
は中国の工場で細かい行程に細分化されて、単純作業に落とし込まれ
大量生産される。突き抜けるということの評価は、だから結果ではな
く、その行為そのものにある。思考。手を動かした結果ではない部分
それを志向する発想。そういったものが貴重なのはどの分野でもおな
じこと。志向して思考する。人間ならそれができる、はずなのだ。
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