ランの花沢健吾の表紙につられてふらふらと、新宿の紀伊国屋で購入し
たもの。生きることがなぜこれほどまでにしんどいのか、という問題に
構造的な答えを出そうとがんばっている本。つまりなんでこんなにしん
どいのか、なんでこんなにフリーターが増えちゃって、格差が広がって
そんで労働者がこんなに買いたたかれるのよ?という疑問に社会が、国
が、企業がこういう枠組みで流れていて、どういうシフトチェンジがあ
った結果こうした現状になったのです、という明快な論旨がある。
それほど難しい本ではない。もともと、ニートやフリーターに限りなく
近いところにいた著者が、ワーキングプアの人々と出会い、話をきいて
本を読だり、講演を聴く、意見を求める。そうしたガチンコの取り組み
によって綴られた本なので、少し感情的だし、バランスがいいとは言え
ない。特にネオリベラリズムを持ち出して、それを特権階層の陰謀のよ
うに取り上げる。
国家の陰謀、大企業のエゴ、そうしたものを声高に批判するのは勿論い
いのだが、そうした企業や国家も全てをコントロールするわけではなく、
ある程度必然的な流れのなかで舵取りをしている。そうした流れなしに
全ての起点を国家と企業に求めると、本論でもでるように「もう革命し
かなくなる」ということになる。では社会主義はどうなったのか。万人
が生きることを無条件に共有し、喜び合う社会が何をもたらしたのか。
声高な批判はより大きな声にかき消されるものだし、何よりも明確に
何かが悪いと言うことがあまりにはっきり書かれた本は好きではない。
いい本だったということと、好きではない、という評価は両立する。
念のため。
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